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インターナショナル・デザイン・シンポジウム
インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターでは、開設を記念し、「デザイン先進企業と研究機関との新しい連携と国際的なデザイン人材育成のあり方」をテーマとした国際シンポジウムを開催いたしました。このシンポジウムでは、パラダイムシフトによって変わりつつあるデザインのあり方に対し、それを担う人材の育成方法はいかなるものであるべきかについて議論しました。

初日の冒頭では、当振興会の常任理事である青木史郎より、デザインの人材育成が抱える課題についてお話がありました。それは、21世紀は情報化社会によるパラダイムシフトが起こっており、デザインの領域においても、これまでの産業化社会における「色・カタチ」のデザインから、「社会的な課題に対して解決をする」デザインが求められているという現状についての話であり、それらに対して「パラダイムシフトを担うデザイナー像とは?」「そのデザイナー像に対してデザイン教育はどのようにあるべきであるか?」という2つの質問が投げかけられました。
それに対し、海外の6研究教育機関より、それぞれの取り組みについてお話しいただきました。全ての機関において共通していた見解は「強力な産学連携体制」と「マネジメントを核とした戦略的デザインの教育」でした。また、各大学の主な特徴として以下のようなものが挙げられました。

-デルフト工科大学- デザインエンジニアリングを中核とし、デザイン・インスティテュートという産学連携の専門研究機関を作り、人材育成に臨んでいる。

-ヘルシンキ芸術デザイン大学- 経済や工学などの様々な分野と連携・融合し、チームワークをベースに多様な人材育成に臨んでいる。

-イリノイ工科大学- 「思考」に着目しており、世界中のどの環境においても適応できるような「問題解決の考え方」の習得を軸に人材育成に臨んでいる。

-プラットインスティテュート- MBAやMAをベースに、シュミレーションモデルから実際の交渉まで行うといった、より実践的な人材育成に臨んでいる。

-清華大学- 世界中の多くの大学とのコラボレーションをベースに、前述の産業化社会型のデザイナーと情報化社会型のデザイナーの両方に対して人材育成を行っている。

-ツォルフェラインスクール- 地域の大学や企業と提携し、ビジネススクールとしてエグゼクティブコースを充実させ、クリエイティビティを中核に人材育成に臨んでいる。

これらのプレゼンテーションを踏まえ、パネルディスカッションでは北海道大学の吉田順一教授をコーディネーターとし、デザインのパラダイムシフトに対して「各研究教育機関では、どのような人材を育てようとしているのか?」という質問を皮切りにディスカッションが行われ、デザインの領域拡大に始まるデザインの役割の変遷、ビジネスにおけるデザイナーの役割や、どのような人物をデザイナーとすべきか、などについて論議が行われました。なかでも最も主張されたのは、デザインというものは「価値を創造する」ことであり、それらは経営という視点においても社会という視点においても非常に重要な役割を果たすということでした。その中では「クリエイティブ・エコノミー」や「クリエイティブ・インダストリー」などの重要なキーワードがいくつも挙げられました。


2日目には、会場を3つの部屋に分け、それぞれの大学の講義を模擬的に体験していただいた後に、日本の企業デザイン部門長をパネリストに向かえ、「デザインの現場」という視点からの「デザインの人材育成の問題点」について語っていただくとともに、それらから「デザインの人材育成のあり方」についてパネルディスカッションが行われました。

そこでは、「デザインの領域拡大」に伴う「他分野とのコミュニケーション機会の拡大」から発生するコミュニケーションのあり方が最も大きな問題点として提示されました。産学連携のあり方については、社会人教育を含んだ継続教育や他分野とのコラボレーションワークが必要であり、研究教育機関のあり方としては、社会人として経験を積んだ人間が、キャリアパスとしてさらなる知識やスキルを身につける「場」としての機能も充実させるべきだとの意見が出ました。


その一方で、デザインの領域は拡大されてはいるが、現在のデザイナーというのは意匠家や設計家といったような狭い領野へと回帰してしまっているのではないだろうかという問題提示もなされ、真に「デザイナーを育成するために必要なものはなにか」について様々な論議がなされました。

その後、青木史郎より総括がなされ、「ほぼ全体的に同じような問題を抱えているが、それぞれに微細な差異も存在する。この差異を明確にすることが今後の人材育成にとっては必要である。」との見解が打ち出されました。

インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターでは、今回のシンポジウムは非常に有意義なものであったと認識しており、このシンポジウムで出された貴重な意見と真摯に向き合い、今後の方策やデザインの人材育成について何かしらの見解を出すべきであると考えており、また当センターとしては、今後もこのような活動を積極的に行っていきたいと考えております。

日程/時間

2007年6月13日(水) 13:00~18:00

2007年6月14日(木) 13:00~18:00

場所

ミッドタウンタワー4F カンファレンスホール Room1~4

パネラー

一日目

Prof. dr. C.J.P.M. de Bont(デルフト工科大学)
Prof. Korvenmaa(ヘルシンキ芸術デザイン大学)
Prof. Hugh Musik(イリノイ工科大学)
Prof. Tahara(プラットインスティテュート)
Prof. Cai Jun(清華大学美術学院)
Prof. Andrej Kupetz(ツォルフェライン・スクール・オブ・マネジメント・アンド・デザイン)

二日目

植松豊行(松下電器産業株式会社 上席審議役)
大澤隆男(株式会社日立製作所 デザイン本部長)
加藤公敬(富士通株式会社 総合デザインセンター所長)
酒井正明(キヤノン株式会社 総合デザインセンター所長)
永木康人(日本電気株式会社 宣伝部デザイングループマネージャー)
御園秀一(株式会社テクノアートリサーチ 取締役社長)

     

コーディネーター

吉田順一教授(北海道大学 社会・経済科学博士)

参加者

約80名

 

 
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