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レポート「ZUAN図案・佐藤浩氏講演会報告」
ライター: 吉田 功   
講演会主催の『ZUAN図案』は、現会長浅葉克己氏の「母校の後輩達、クリエイティブ界の後輩達のために、もっと頑張れ!と何かしてあげたい」という意志を受け、昨年発足したばかりの団体です。この一年間では、活躍するクリエイターの紹介や会員の情報交換としての会員誌ZUAN図案Web Magazineを10回発行。講演会活動は一回目勝岡重夫氏、二回目宮田識氏、そして今回佐藤浩氏を講師に迎え、実績実力のある方々に自由にそして本音で語って頂くというスタイルで実施する事ができました。まだ始まったばかりの小さな団体ですが、いつかはデザインに新しい風をと願って活動を積み上げていきます。今後にご期待下さい。以下の文章は、会員誌に掲載した記事「佐藤浩氏講演会、私的報告」から抜粋再編集したものです。

 

それは、「握力のある笑顔」なのだ。(ZUAN図案事務局長の私的報告)

最近はデザイン系でも講演会やセミナーは、カタカナやアルファベットのタイトルが付いている。なんだか凄そうだが、正直いって私には意味がよく分からない場合が多い。最近のデザインは難しい。さて、ZUAN図案では旧来の「○○氏講演会」である。誰にも聞かれないので勝手に説明するのだが、「それを創った人、その仕事をした人に直接会って、生の話を聞く」ということに主題をおいているからなのである。事前の打ち合わせでも、時程とプレゼンテーション方法だけ決めて、内容は講演者の方にお任せし、自由にお話くださいとお願いしている(注:事務局長が怠け者であることとは直接関係ない)。講演会後の飲み会で、会員の福田さんが「佐藤さんのサントリーオールドは、学生時代憧れの広告だったんです。それを創ったご本人に会えて話が聞けたのは感動ものですよ」と言っていた。ああ、この講演の狙いまでも判ってもらえているのかと、とても嬉しかった。

佐藤さんの仕事で憧れの作品と言えば、私の場合映画『雨あがる』(1999年・脚本黒澤明)のポスターだ。今回あの水溜りのアイデアが、犬との散歩中に発見されたことを始めて知ったし、嫌がる奥さんに傘を持たせてそこに立ってもらってイメージを確かめたエピソードには笑ってしまった。更に実際の制作では本物の水溜りでは期待通りに行かないと、とうとう撮影スタジオにセットを造ってまで撮影したと聞き、その妥協せず徹底的に追及する姿勢に驚いた。佐藤さんの表現実現へのこだわりは強烈で、広告ポスターのサハラ砂漠での撮影などはその最たるものだろう。どうやってクライアントを口説いたのか、撮影ではどんな苦労があったのか、時間があったらもっと聞きたかったところだ、残念(責任者は私だ)。

その「こだわり」はもう一線の仕事とは一歩離れた創作活動でも同様で、『石の鳥』の撮影や『SCRAP LAND』の制作も本業と変わらない密度で行われている。この本業と創作活動の二本線の関係を質問してみたら「どちらとも私の中から出てきたものですから関係ないとは言えませんが、それを仕事で使おうと思って制作しているわけでもありません」という返事であった。でもエネルギーの相乗効果みたいなものがあるんじゃないかなと感じられるし、仕事で一緒したカメラマンさん達が創作活動でもボランティアで協力してくれたのも同じ感覚だったのではないだろうか。まあ、それ以上に佐藤さんの人柄によるところが大きいし、何よりも創る事を純粋に楽しんでいる事が一番の魅力なのだろうなとも想像できた。

今回最も心に残った一言は、「広告は人の目に触れるものだから、美しくなければいけないと思っています」ということ。当たり前と言う人もいるだろうが、商売をしているうちに見失いがちな事であるし、テーマによってはとても難しい事でもある。佐藤さんは反戦反核運動ポスターでさえ生々しい残酷さを退け、グラフィックの力でメッセージを伝える事に成功している。つい最近私自身がコンクールで「格差」に挑戦して、暗さを排し希望が持てる内容を目指したものの、矢折れ刀尽きたばかりなので心に響いた。

 

深夜、お別れ際に「ご苦労様でした」と先に佐藤さんに言われてしまって恐縮した。その時私の二の腕を掴んだ握力にビックリしてしまった。そういえば高校時代は柔道部にいたと言ってたっけ。その時コピーが閃いた。佐藤さんの作品は「握力のある笑顔」なのである。

(文・写真:吉田功、ZUAN図案WebMagazine11号掲載記事より抜粋編集。)


佐藤浩氏講演会-メッセージのあるデザイン-

【講演者】
佐藤浩氏(佐藤浩デザイン室・名古屋芸術大学教授)

【日時】
3月15日(土)午後2時開演(約2時間)

【場所】
東京ミッドタウン・リエゾンセンター

【第一部】
40年以上にわたるグラフィックデザイン、広告・ポスター制作の中から、代表的な作品をご紹介頂き、制作秘話・苦労話といった本人だからこその解説がありました。

【第二部】
仕事としてのデザインから一歩離れた活動、立体作品『石の鳥』『SCRAP LAND』社会発言ポスター『JAGDA PEACE POSTER展』『反核FAXポスター運動』といった作品を紹介。その制作活動を通して得た事等、メッセージのあるデザインをテーマにお話し頂きました。尚佐藤氏のご協力により佐藤浩氏作品絵はがき(参加者全員)やサイン入り絵本のプレゼントがありました。

【参加者】
ZUAN図案会員及び一般希望者約50名

【主催】
ZUAN図案

【協力】
インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター

【URL】
http://www.sepia.dti.ne.jp/zuanzuan/
http://www.liaison-center.net/content/view/47/8/lang,ja/

最終更新日 ( 2008年04月20日(日) )
 
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