| レポート「ZUAN図案・佐藤浩氏講演会報告」 |
| ライター: 吉田 功 | |
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それは、「握力のある笑顔」なのだ。(ZUAN図案事務局長の私的報告)
佐藤さんの仕事で憧れの作品と言えば、私の場合映画『雨あがる』(1999年・脚本黒澤明)のポスターだ。今回あの水溜りのアイデアが、犬との散歩中に発見されたことを始めて知ったし、嫌がる奥さんに傘を持たせてそこに立ってもらってイメージを確かめたエピソードには笑ってしまった。更に実際の制作では本物の水溜りでは期待通りに行かないと、とうとう撮影スタジオにセットを造ってまで撮影したと聞き、その妥協せず徹底的に追及する姿勢に驚いた。佐藤さんの表現実現へのこだわりは強烈で、広告ポスターのサハラ砂漠での撮影などはその最たるものだろう。どうやってクライアントを口説いたのか、撮影ではどんな苦労があったのか、時間があったらもっと聞きたかったところだ、残念(責任者は私だ)。 その「こだわり」はもう一線の仕事とは一歩離れた創作活動でも同様で、『石の鳥』の撮影や『SCRAP LAND』の制作も本業と変わらない密度で行われている。この本業と創作活動の二本線の関係を質問してみたら「どちらとも私の中から出てきたものですから関係ないとは言えませんが、それを仕事で使おうと思って制作しているわけでもありません」という返事であった。でもエネルギーの相乗効果みたいなものがあるんじゃないかなと感じられるし、仕事で一緒したカメラマンさん達が創作活動でもボランティアで協力してくれたのも同じ感覚だったのではないだろうか。まあ、それ以上に佐藤さんの人柄によるところが大きいし、何よりも創る事を純粋に楽しんでいる事が一番の魅力なのだろうなとも想像できた。 今回最も心に残った一言は、「広告は人の目に触れるものだから、美しくなければいけないと思っています」ということ。当たり前と言う人もいるだろうが、商売をしているうちに見失いがちな事であるし、テーマによってはとても難しい事でもある。佐藤さんは反戦反核運動ポスターでさえ生々しい残酷さを退け、グラフィックの力でメッセージを伝える事に成功している。つい最近私自身がコンクールで「格差」に挑戦して、暗さを排し希望が持てる内容を目指したものの、矢折れ刀尽きたばかりなので心に響いた。
深夜、お別れ際に「ご苦労様でした」と先に佐藤さんに言われてしまって恐縮した。その時私の二の腕を掴んだ握力にビックリしてしまった。そういえば高校時代は柔道部にいたと言ってたっけ。その時コピーが閃いた。佐藤さんの作品は「握力のある笑顔」なのである。 (文・写真:吉田功、ZUAN図案WebMagazine11号掲載記事より抜粋編集。) 佐藤浩氏講演会-メッセージのあるデザイン-
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| 最終更新日 ( 2008年04月20日(日) ) |
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